本連合は、2006年に設立されました。初代会長は古川孝順会長で、私はその時から5年間(2008年から高橋重宏会長)日本社会福祉学会選出の運営委員を務めさせて頂きました。またその後、2013年から3年間、副田あけみ会長のもとで、社会事業史学会選出の運営委員を務めさせて頂きました。その後10年の月日を経て、会長として再び本連合に関わらせて頂けることを大変光栄に思っています。
本連合が設立されてからの20年間で社会福祉を取り巻く環境は大きく変わりました。とりわけ、ICTやAI等を用いた支援は、国が後押ししたこともあり、目覚ましく発展しました。総務省情報通信審議会などは、2018年の段階で、ICT等の利活用により、高齢者や障がい者を支援すると共に、外国人との共生を実現し、年齢、障がいの有無、性別、国籍等に関わらず、皆が支え合うインクルーシブな社会を目指すことが必要であると提起しています。また、近年では今までのコンピューターとは異なるレベルの人工「知能」をもつ生成系AIが、福祉サービスを必要とする多くの人びとの生活を一変させるといわれています。
そのような時代に社会福祉系学会に求められることは何でしょうか。
福祉専門職の待遇は、国や自治体のさまざまな加算等で改善の方向にありますが、未だに全産業の平均賃金には及びません。福祉マインドをもった生身の人間でなければ行うことができないことが多い領域でありながら、社会における福祉専門職に対する評価は大きく変わることがない現実があります。われわれにはこれまでの社会の価値観を大きく変えるための活動が求められています。それができるのは、本連合に加盟している社会福祉系学会だと思います。
本連合は、①日本学術会議社会学委員会「価値とイノベーションの創発による福祉システム検討分科会」への協力、②社会福祉系学会の交流と連携を通した活性化、③研究条件向上のための社会的活動を大きな柱としながら、加盟学会の会員の皆さまと連携し、新たな価値に基づいた実践の知を社会に発信していきたいと考えています。